バランスが悪くなってしまう

2010-12-02

ボクの説明に目を輝かせたYさんは、けれどもすぐに首を横に振った。「そんな大手術は、お金もかかるでしょう?」「ええ、手術時間は一人で行う場合は約四時間、手術費用も六〇万円ぐらいかかります。ですから、まだそんなにたるみが出ていない人には、アメリカではやり始めた新しい方法も悪くないかもしれない」。儲けだけ考えれば手術を行ったほうが利益は出る。しかし、医療は患者本位に考えるべきだと、ボクは思っている。だから、どんなときも選択肢をいくつか提示して、治療の方法は患者さんに選んでもらうようにしている。この場合もそうだ。「そのアメリカの最新技術っていうのは、どんなものなんですか?」。身を乗り出さんばかりに先を促すYさんに、ボクは答えた。「ボトックスを眉の外側の直下くらい、つまり上方の眼輪筋に打つと、ブロウリフトの効果が出るんです。でも、これは欧米人の場合ですけどね。さっきもお話ししたとおり、彼らは前頭骨が飛び出しているから、そこで皮膚のたるみがくい止められる。だからボトックスを打つと、上がり眉になる。ところが日本人の場合は前頭骨がのっぺりしているから、たるんだ皮膚が、そのまま上まぶたまで垂れてきてしまう。これを治さなければ額をいくら引っ張り上げても、まぶたにたるみが残るので、かえってバランスが悪くなってしまうんです」。