誰が有料制に鈴をつける

2011-09-16

ごみの収集、処理を税金でまかなうような、自由経済の原則を無視した過剰サービス体制を温存していては自治体のごみ問題は根本的に解消しませんし、リサイクルの奨励も空念仏に終わる危険性が高いといえます。ところが実際上は、分かっていても手がつけられずに三すくみになっている市町村が多いのです。次にその主な理由と打開策を検討してみます。
(1)市町村長が選挙で不利になると考えて踏み切れない
ごみ処理の無料化は選挙の際の人気取りから出発しているので、自治体の首長が二の足を踏んでいるケースが多いようです。奈良県大淀町では一〇年以上前から袋収集方式の有料制を実施してきましたが、その町長に会ったときに、「どうして有料制に踏み切り、続けてこられたのか」をききますと、やはり、「選挙で対抗馬が出て無料化するといっても勝てる自信があった」からだといいます。現在、有料制を実施している自治体のほとんどが同じような条件であるとみられます。
(2)担当地方行政当局に決断力がない
行政は無理解な住民から多少の抵抗があっても、将来も見通して、住民全体に役立つ施策を進める必要がありますが、残念ながら市町村の職員にはよいと分かっていても、自分が推進力になって実行しようというファイトのない人も多いのです。世論調査をすると、どこの自治体でも、適正な料金ならほとんどの市民は有料制に協力すると答えてくれます。しかし、実態は近くのどこかの自治体が決断すれば、その様子をみて踏み切ろうと日和見してしまうために進展しないのです。ほかの行政改革などでも同様の傾向があり、そのような公務員はごみ処理費を高くしている月給泥棒です。
(3)不法投棄が増えるのに対処できない
確かに有料化した市町村の中には一時的に不法投棄が増えた事例はありますが、量的にはごく一部で一時的であるとみられ、その人たちに対する地道な協力要請で乗り切ることを考えるべきでしょう。それを理由に有料化できないというのは、やる気のない自治体職員のへ理屈にすぎません。
(4)具体的でベターな方式が確定しにくい
すでに有料化に踏み切っている市町村のシステムと効果を参考にすることは大切です。いずれにしても、ごみ処理に要している実費のすべてを住民に負担してもらうようにすべきですが、一度に改変することをためらう場合は、経過措置としてシビルミニマム(通常の市民生活維持のための最低の条件)に当たるごみ量分は無料を続け、過剰分だけを有料にしたり、東京都が一九九二年から実施しているように粗大ごみだけを有料にするところも増えてきています。出雲市のように使用しなかった配布袋を買い取る制度にすることもできます。先行的な自治体をみてもどれがベターなのか分からないから実施しないというのも、後ろ向きの言い訳にすぎません。
(5)一自治体だけでは実施しにくい
隣の自治体が無料のままですと、ごみには住所氏名が書かれていないので、隣の町にごみを捨てるという一種の不法投棄が定常化する危険性があります。特に街並みが続いている市町村では起こりやすくなります。したがって、数市町村が同時に同方式で有料化することが望ましく、それを都道府県が奨励するような施策を進めるべきでしょう(三重県で検討されています)。それらの難問題を乗り越えて、全国的に完全有料化が緊急に進められるようになることが望まれますが、その際、生活保護家庭や低所得者層の負担増に対する配慮も欠かすことができません。